だんだん悪化して…その息切れやむくみは心不全かもしれない
「心不全は次のステージに移行するのを予防するのが重要です。予防が死亡回避につながります」(筒井教授=以下同)
超高齢化社会である日本において、心臓病で亡くなる人の40%が心不全で、16%の心筋梗塞を上回っている(2018年)。
循環器疾患の専門医の間では「だれでもなる病気=common disease」という認識だ。だれもが正しく理解し、正しく対策を講じる必要がある。
大きな分かれ目になるのは、心不全を発症する前か後かだ。心不全発症前のステージA、Bでは、心不全の症状はない。ここでは生活習慣病のコントロールに力を入れる。米国の大規模臨床試験では、収縮期血圧(上)を140未満まで下げた群と、120未満まで下げた群を比較。120未満まで下げた群は心不全のリスクが低下し、生命予後を改善した。高血圧の人は120未満を目標にする。
また、SGLT2阻害薬という糖尿病治療薬が心不全リスクが高い患者の予後を改善し、心不全をすでに発症した患者の予後も改善したとの大規模な研究結果が昨年、今年と出ている。