日本の医療文化は世界的にも正しいモデルのひとつといえる
また高齢の患者さんの場合、本人との関係には大きな問題がなくても、その家族との間でトラブルに発展するケースもあります。われわれ医療者は、患者さんの年代に応じて「この年齢ならば、こんなリスクがあって、こういう合併症が起こりやすくなる」ということがわかっています。患者さん本人も、自分の体があちこち衰えていると自覚していますし、事前に説明を受けてきちんとリスクを把握している人は多くいらっしゃいます。
しかし、患者さんの子供や孫の世代は、自分が高齢になったときの体の状態を知りません。そのため、医療者側の説明を理解できていないケースがあるのです。
「医療安全」に沿った対応は、こうしたトラブルを起こさないようにするためのもので、治療をスタートする前の段階から、きちんとした手続きを重ねていかなければなりません。これまで医療はどちらかというと「サービス」である部分が大きかったのですが、より「契約」という要素が強くなってきたといえます。医療安全はそうした契約を監視するシステムなのです。
■「医療安全」に対する考え方が成熟している