日本の医療文化は世界的にも正しいモデルのひとつといえる
残念ながら、それでもトラブルは起こってしまいますし、最悪の場合は訴訟に発展するケースもあります。それでも、日本の医療安全に関する“文化”はかなり成熟しているといえるでしょう。とりわけ、中国やベトナムといった医療途上国といえる国では、まだまだ「患者さんを守る」という意識が低く、医療安全の手続きも確立されていない状況です。
「すべての国民に一定水準以上の平等な治療が提供される」という日本の国民皆保険制度は、世界的にみても手厚く整備されています。医療安全も含め、日本の医療者は、自分たちは世界の手本になるような正しい医療モデルのひとつを実践しているという自覚を持って、さらにより良い医療文化を築いていく姿勢で取り組んでいくことが大切です。
国民皆保険制度ではない米国では、患者さんが加入している民間保険によって、カバーしてもらえる医療の範囲が変わってきます。簡単にいえば、保険料が安いタイプでは治療費が高額になって受けられない医療がたくさんあるということです。そのため、医療者側は「この患者は医療費を払えるのか、払えないのか」という2つの視点で患者さんを判断します。