もう一つのコロナワクチン ウイルスベクターの期待と課題

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 日本が供給を受けることで合意しているワクチンがもうひとつある。イギリスの製薬大手アストラゼネカがオックスフォード大学と共同で開発している「ウイルスベクター」と呼ばれるタイプのワクチンだ。開発が成功した際に6000万人分を確保しているという。

「このワクチンも、体内で新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を作り出す遺伝子を投与して抗体を産生させ、ウイルスを排除します。さらにキラーT細胞によってウイルスを退治する細胞性免疫も引き起こすといわれています。mRNAワクチンと異なるのは、ターゲットの細胞内まで遺伝子を運ぶ運搬役として、ウイルスを使っているところです」(神崎氏)

■日本でも治験が実施されている

 アストラゼネカのワクチンでは、チンパンジーから取り出して弱毒化させたチンパンジーアデノウイルスに、スパイクタンパク質の遺伝子を組み込んでいる。

「ウイルスを運搬役として使うのは、スパイクタンパク質を作り出す遺伝子を、ターゲットにしている細胞内まで効率的に到達させるためです。弱毒化していてもアデノウイルスには細胞内に侵入して感染する力があります。細胞の中まで遺伝子を運ぶ最適な運搬役といっていいでしょう。また、ウイルスを使うワクチンは、mRNAワクチンに比べてたくさんの抗原が作られるため、抗体ができやすいといわれています。その分、より強い感染予防効果が期待できます」(神崎氏)

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