ワクチンが逆効果に…「フィリピンショック」はなぜ起きたか

公開日: 更新日:

 しかし、4種類の型すべてに免疫(抗体)を誘導するデング熱ワクチン「Dengvaxia」が開発され、2016年4月にフィリピン保健省は公立学校に通う約80万人の子供に対し、世界初の「Dengvaxia」の接種を開始した。当時は9歳以上の全人口の20%にワクチン接種すれば、デング熱による疾病負担は5年以内に50%低減するとみられていた。

 フィリピンでは当初、時期尚早との反対意見が多く、WHO(世界保健機関)も推奨しなかったが、同7月に入りWHOが条件付きで推奨し始めたころから異変が。ワクチンを接種した小児がデング熱に感染すると重症化し、中には死に至るケースが続出したのだ。

 製薬会社はワクチンとの因果関係を否定できないとして、「デングウイルスに感染歴のない子供に投与すべきではない」と発表。フィリピン保健省は直ちにこのワクチンの接種プログラムを停止して販売を中止、WHOもこれを支持した。その後、製薬会社はこのワクチン接種を「接種前スクリーニングを行い、デング熱の既往が確認された者のみに接種する方法を推奨する」とした。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大阪万博会場の孤島「夢洲」で水のトラブル続出の必然…トイレ故障も虫大量発生も原因は同じ

  2. 2

    巨人阿部監督がオンカジ送検の増田大輝を「禊降格」しないワケ…《中心でなくても、いないと困る選手》

  3. 3

    オンカジ騒動 巨人オコエ瑠偉が「バクダン」投下!《楽天の先輩》実名公表に現実味

  4. 4

    趣里の結婚で揺れる水谷ファミリーと「希代のワル」と対峙した梅宮ファミリー…当時と現在の決定的な違い

  5. 5

    中国企業が発表した「ナトリウムイオン電池」の威力…リチウムイオン電池に代わる新たな選択肢に

  1. 6

    永野芽郁「かくかくしかじか」"強行突破"で慌しい動き…フジCM中止も《東村アキコ役は適役》との声が

  2. 7

    永野芽郁と田中圭は文春砲第2弾も“全否定”で降参せず…後を絶たない「LINE流出」は身内から?

  3. 8

    渋谷区と世田谷区がマイナ保険証と資格確認書の「2枚持ち」認める…自治体の謀反がいよいよ始まった

  4. 9

    水谷豊に“忖度”?NHK『BE:FIRST』特集放送に批判…民放も事務所も三山凌輝を“処分”できない事情

  5. 10

    頭が痛いのは水谷豊だけじゃない…三山凌輝スキャンダルで間宮祥太朗「イグナイト」“爆死”へ加速危機