世界一有名な画家ゴッホの奇行に唱えられる「梅毒説」
そこで浮上したのが「神経梅毒」説です。ゴッホが生きた19世紀のフランスでは、梅毒が猛威をふるう一方で、その恐ろしさが認識されていませんでした。ですから娼館通いする男性も多く、ゴッホもそのひとりでした。しかもゴッホは淋病で入院していた時期もあったことから、なおさらこの説が真実味を帯びるというわけです。
しかし、彼の奇行が梅毒であるならば、脳に支障が出る前にゴム腫やバラ疹などの皮膚の異常が起きているはずです。ところが、彼は療養所で医師の診察も受けていたはずですが、そのことは確認されていません。ですから、私はこれは「芸術家ならそういうこともあるだろう」的な見方でしかないように思っています。
ちなみにゴッホは1880年代のパリで流行したジャポニズムの影響を強く受けており、画商が大量に仕入れた浮世絵に関心を寄せ収集し、その画風に影響を受けたと言われています。また、ゴッホが描いた「ひまわり」7枚のうち1枚は日本の損害保険会社が購入し、新宿区内の美術館に保管されています。この「ひまわり」については贋作説が出たことがありましたが、キャンバスの布がゴーギャンと同じものだと鑑定されたことで、本物だと証明されたそうです。