心房細動や貧血が「心不全」の原因になるケースもある
心房細動がある人は、まずは薬物治療によるリズムや心拍数の管理を行い、カテーテルアブレーションなどの治療で症状をしっかりコントロールすることが、心不全の予防につながります。心房細動によって弁にトラブルが起こっている場合は、カテーテルを使って大動脈弁を交換する「TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)」や、ずれてうまく閉じなくなっている僧帽弁の両端をクリップで留める「マイトラクリップ」といった治療を行い、うっ血を改善することで心不全の悪化を防ぎます。
■原疾患の進行や悪化で心不全を発症
また、「貧血」が心不全につながるケースもあります。貧血とは、血液中の正常な赤血球の量が少なくなっている状態を指します。赤血球に含まれていて、全身に酸素を運ぶ役割があるヘモグロビンの量も低下するため、細胞が酸欠状態になって不調が表れます。
体内が酸欠状態になると、それをカバーするために心臓はフル回転して少しでも多く血液を循環させようとします。すると、心臓の拍動数が増加して「心悸亢進」という症状が表れます。それだけ心臓には大きな負担がかかるので、さまざまな心臓疾患につながります。たとえば、通常なら問題ない程度の軽い弁膜症があるような人は、貧血が悪化すると心臓の負担が増大し、心不全を発症しやすくなってしまうのです。