甲状腺ホルモンが低下すると腎臓が悪くなる?789人の解析結果
腎臓は体でいらなくなった物質を尿から排泄する働きを持つとともに、体の水や塩分の調整など、生命に直結した重要な働きを持っている臓器です。その働きが持続的に低下した状態を「慢性腎臓病」と呼んでいます。慢性腎臓病が進行すると、腎臓の働きが高度に低下した腎不全という状態になり、人工透析といって血液を取り出して濾過する治療が必要になることもあります。
腎臓病の原因は高血圧や糖尿病などの血管の病気であることが多く、血圧や血糖を正常に保つことが腎臓病の予防のためには何より重要です。最近、ある血液のホルモンの値と慢性腎臓病との間に、強い関連があることが注目されています。そのホルモンとは、甲状腺ホルモンです。
甲状腺は首のところにあるチョウの羽の形をした組織で、そこから体の代謝を良くしたり、心臓を刺激したりする甲状腺ホルモンが分泌されるのです。今年の内分泌学の専門誌に発表された論文によると、甲状腺機能が正常の789人を解析したところ、甲状腺機能低下症の指標である、血液中のTSHという値が高いほど、腎機能の指標である腎臓の血流量が低い、という結果が得られたのです。
その原因についてはまだ不明の点が多いのですが、甲状腺のホルモン機能の低下は、腎臓の働きと深い関係があるようです。