高血圧の薬で認知症を予防できるのか 専門誌でデータ発表
高血圧も認知症も高齢者に多い病気です。この2つの間には、どのような関係があるのでしょうか? 高血圧の状態が長く続くと、動脈硬化が進み、その血管へのダメージは認知症の原因となります。一方で高血圧の治療により血圧が下がり過ぎると、脳の血流が低下して認知症の症状がむしろ進行する可能性もあります。高血圧と認知症との関係は、そう簡単ではないのです。
いま広く使用されている降圧剤に「ACE阻害剤」や「ARB」(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)と呼ばれるタイプの薬があります。これは塩分や水分を維持するための仕組みであるレニン・アンジオテンシン系という体の仕組みを抑える、という作用の薬です。
最近、このタイプの血圧の薬が認知症の予防につながるのでは、という研究結果が報告されて注目されています。こうした薬には血圧を下げるだけでなく、血管の炎症を抑えるような働きがあるので、血管の老化を防ぎ、それが認知症予防につながる可能性があるのです。
特に注目されているのは、脳の血管に直接作用する可能性がある薬です。今年の高血圧の専門誌に発表された論文に、「脳に薬が移行するようなタイプのACE阻害剤やARBを使用することで、脳に移行しない薬と比べ物忘れを予防するような効果があった」というデータが発表されています。高血圧の薬は認知症予防に有効な可能性がありそうです。