糖尿病の治療薬そのものが認知症対策に役立つ可能性あり
研究では、記憶力や思考力の障害を感じ、受診した平均76歳の男女282人が参加。全員が研究開始時の認知テストで同様のスコアを示しており、282人中70人が糖尿病でDPP-4阻害薬の治療中、71人が糖尿病だけど薬物治療を受けておらず、141人は糖尿病ではありませんでした。
■DPP-4阻害薬服用者は認知機能の低下が遅かった
参加者全員が認知症が疑われる時に行われる検査「MMSE(ミニメンタルステート検査)」を12カ月ごとに2.5年間受けたところ、DPP-4阻害薬を服用していた群は平均0.87ポイントの低下でしたが、服用していなかった群は同1.65ポイント低下、糖尿病でない群では同1.48ポイント低下でした。
さらに、検査に影響を与える可能性のある要因を調整すると、DPP-4阻害薬を服用していた患者は、認知機能の低下が年間0.77ポイント遅くなるとの結果でした。
また、アルツハイマー型認知症の原因になる物質「アミロイドβ」がDPP-4阻害薬を服用していた患者では少なかったことも、この研究で明らかになりました。