著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

AIによる胃内視鏡検査は患者に「不安」を残すのではないか

公開日: 更新日:

がんの診断は「0%」か「100%」

 ただ、AI検査のビデオを見て、私は少し首をかしげました。機械だから、データを集めたAIだから仕方がないのですが、その部位は「70%がん」「80%がん」などということはあり得ないのです。がんか、がんでないか、がんの診断は「0%」か「100%」でなければなりません。そのために、内視鏡専門医は日夜、プロの目、眼力を養ってきたのです。

 白血病を診断する血液学でも同様です。われわれは顕微鏡をのぞき込み、患者の血液の細胞を見て、「これは白血病細胞だ」と断言してきました。「70%白血病」などという見解はあり得ません。

 患者は命がかかっています。仮に、内視鏡検査が麻酔なしで行われ、患者が覚醒した状態で一緒にモニターを見ていて、「AIはがん確率45%を示し、医師は生検をしなかった」とします。すると患者は、「AIはがん45%、医師は大丈夫だと判断して生検しなかった。医師を信頼しているが、それでも私はAIでは45%がんなのだ」と考えるでしょう。この先ずっと頭の中に「45%」という数値が、その不安が残ってしまうのではないか。そう思いました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド