前代未聞の猛威を振るうオミクロン株に負けないために何をすればいいのだろう
前代未聞の感染力で拡がったオミクロン株は、果たしてこのままピークアウトしていくのか。予断を許さない状況が続いているが、一方で、デルタ株などと比べると重症化率が少ないことから、ただの風邪によく似ているとも言われている。これは事実なのだろうか。
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「オミクロン株の日本人への影響について十分科学的根拠のあるまとまったデータはまだ公表されてないと思います。ただし、現場で診療していて、症状が急激に出て、数日以内に症状が軽減している患者さんもいらっしゃいます」と話すのは、KARADA内科クリニック渋谷院の院長で、日本感染症学会専門医でもある田中雅之医師。
「デルタ株が流行していた昨年8月に比べると、頻度は減っているものの、臭覚障害や味覚障害が出ている患者さんもいます。このような症状は当然普通の風邪の症状にはありません。ご存じのようにオミクロン株の特徴としては、これまでの新型コロナウイルスと比べると感染力がとても強く、一方で、重症化率が少ないことが挙げられます。診療の現場においても、それは実感していますね」
日本人のほとんどは、小さな子どもを除けば日常的にマスクを着用しており、ワクチンも接種している。それでもオミクロン株はかつてない勢いで感染が拡大している。医療現場では、実際にどうなのだろうか。
「例えば、保育園などで誰かが陽性になったとすれば、数珠つなぎのようにどんどん感染者が出てくるというのは、日常的によく遭遇しています。ワクチンを接種していても、マスクを着用していても、いわゆる濃厚接触者の定義にあるような、15分以上のマスクなしでの会話をしていなくても感染しているケースにも遭遇し、感染力が強いことを現場で感じています」と田中医師は言う。
ワクチンが頼みの綱にならざるをえない
国立感染症研究所の濃厚接触者の定義によれば、陽性者(無症状者を含む)の感染可能期間に次の接触があった場合として、「陽性者と同居、あるいは長時間の接触があった人」「適切な感染防護なしに患者を診察・看護・介護していた人」「陽性者の気道分泌液や体液などの汚物物質に直接触れた可能性が高い人」「マスクなど必要な感染予防策なしで陽性者と1メートル以内で15分以上接触があった人」が挙げられている。
だが、こうした濃厚接触者の定義に当てはまらなくても感染が成立しているケースが多くあるようだ。
ワクチンを接種していても感染する事例が報告されているが、ワクチンの追加接種はどの程度、効果が期待できるのだろうか。
「いろいろな意見がワクチンにあるようですが、現状3回目の追加接種にしか策がない状況なのかもしれません。日本人のほとんどはマスクの着用を徹底していると思われますし、アルコールが置いてあれば、アルコールで手指の消毒をしています。かなり優秀な“感染対策国民”だと思います。それでもこんなに感染が拡大してしまうわけですから、ワクチンが頼みの綱にならざるをえないわけです」
■自身の健康を見直すきっかけにすべき
予防対策である、3密の回避、手洗い、1日3食の食事や十分な睡眠により免疫力を整えておくことで、感染のリスクは下げられる。
「生活習慣病の人が新型コロナ感染で重症化率が高くなるのはよく知られていると思いますが、このコロナ禍において、コロナだけに捉われすぎず、生活習慣を見直すいい機会にしていただければと思っています。新型コロナの重症化という観点からも当然肥満を改善することや喫煙を控えるということも重要です。コロナを契機に国民の皆さまがより健康に関心が湧くように内科医として継続的にサポートしていきたいと思っています」
日々の体調管理にフォーカスした生活を実践することが、今もこれからも新型コロナの対策につながるのだ。