脱腸手術は切開ではキズは3~5センチだが腹腔鏡なら3~5ミリ
外科医は腹腔鏡のカメラで撮った映像をテレビモニターで確認しながら、別の2つの穴から入れた棒状の手術機器を操作し、お腹の中からメッシュで穴を塞ぎます。
前述のように、腹腔鏡手術では3~5ミリの穴しか開けません。切開手術とは比較にならないほど小さなキズで済むため、日帰りが容易となるのですが、それでもメッシュの大きさによっては、腹部のキズが大きくなるという問題がまだありました。
それを私たちはさらに小さなキズでメッシュを挿入できるシステムを発明し、2017年には特許も取得しています。
そんな日帰り手術が年々患者さんにとってより身近になってきているということを、ある60歳代の患者さんが口にした印象深い言葉を聞いて、改めて実感できました。
この患者さんはかつて、腹腔鏡手術とは違う開腹手術を経験された方でした。
「5年前にほかの病院で、左下腹部の切開手術を日帰りで受けたのですが、その帰宅途中から術後1週間は痛みとの闘いでした。そのときの経験から痛みを少しでも軽減したいと思って腹腔鏡手術でお願いしました。おかげで術後1時間半くらいの休みで、安心して帰宅できました。5年前に感じた痛みが嘘のようです」