腹腔鏡手術の登場と麻酔薬の進歩で盲腸・脱腸手術が入院不要に
今回は、そもそもこれまでの手術と「日帰り手術」のなにが違うのかということを改めてお伝えしたいと思います。
現在日本では、盲腸や鼠径ヘルニア(脱腸)の手術を受けた場合の平均在院日数は5日前後とされています。その一般的な内容は、「手術の前日に患者さんが病棟の看護師などから説明を受ける→その内容が手術室の看護師に申し送りされる→翌日手術→術後、患者さんは病棟に帰り2~3日療養」といったもの。
手術を受けようと思ったなら、仕事を持っている方は休暇を取り仕事の引き継ぎを行い、ご家庭の主婦の方は家事をほかの家族に託すなど、物心両面にわたったあらゆる準備をし、それ相当の覚悟を持って臨まなければいけません。
一方、日帰り手術では、当院の例で言いますと、来院後30分ほどで手術室に入り、麻酔にかかっているということになります。
これを可能にした背景として最も大きいのは、ひとつは「腹腔鏡手術」という新しい技術の登場。そしてもうひとつは、麻酔薬の進歩で以前よりも覚め方が早くなり、さらには麻酔科医の技術の向上があります。腹腔鏡手術については、また別の回で詳しく紹介したいと考えています。