抗ヒスタミン薬の副作用「眠気」と「口渇感」が“食べる”の障害に
高齢になっても元気に“食べる”うえで、個人的に注意が必要だと考えているクスリは「抗ヒスタミン薬」です。以前にも一度少し触れたことがありますが、さらに詳しくお話しします。
抗ヒスタミン薬というとピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんが、いわゆるアレルギー症状に用いられるクスリです。鼻水を止めたり、鼻づまりを改善したり、かゆみを止めたりすることを目的としています。
これらの症状は風邪をひいたときに表れる症状でもあるため、一部の抗ヒスタミン薬の成分は市販されている風邪薬にも含まれている場合が多いです。市販薬にも入っていると聞くと「安全性が高い成分」だと思われる方も多いでしょう。しかし、当然、副作用があり、その代表的なものが中枢抑制作用による「眠気」と唾液分泌抑制作用による「口渇感(口の中が渇く)」です。
これまでクスリと“食べる”の関係について取り上げてきた中で、「眠気」は摂食嚥下(えんげ)5期のうち食道期を除くすべての時期に悪影響を及ぼすとお話ししました。抗ヒスタミン薬による眠気は、成分がどの程度脳に到達するかによって決まり、中にはその程度が弱く眠気を起こしにくいとされているものもあります。ただ、それでもまったく眠気を起こさないわけではないので、特に高齢者の方がこういった抗ヒスタミン薬を使う際は注意が必要です。