「花粉症薬」と「胃薬」で運動効果が消失…ヒスタミンが関係
花粉症の時には鼻水を止める薬を使います。代表は「抗ヒスタミン剤」という、ヒスタミンという物質の働きを抑える薬。ヒスタミンは生体アミンと呼ばれる物質のひとつで、人間を目覚めた状態にする働きがあります。つまり大切な働きをしているのですが、その一方で鼻水やじんましんなどの原因にもなるので、それを抑えるために抗ヒスタミン剤を使うのです。
花粉症の薬を飲むと眠くなるのはそのためです。他に胃酸を抑える胃薬の一部にも、ヒスタミンを抑える働きがあります。
このヒスタミンは、実は運動とも大きな関係があります。運動をすると血流が良くなりますが、それはヒスタミンが増えるからなのです。
今年の科学の専門誌に、ヒスタミンと運動についての最新の研究結果が報告されました。健康な人に、どちらもヒスタミンの働きを抑える作用を持つ抗ヒスタミン剤と胃薬を一緒に飲んで運動してもらったところ、薬を飲まない人と比較して、運動の血管や血流に与える良い影響が抑えられてしまっていたのです。
運動で健康になるためにはヒスタミンが大事な働きをしているので、それを抑えると運動の健康効果が低下してしまうということのようです。花粉症の薬も胃酸を抑える胃薬も、どちらもヒスタミンを抑える作用を持っているので、一緒に使うのはどうしても必要な時だけにしておいた方が安全かもしれません。