秋野暢子さんは「鬼退治終了」…食道がんは外科医の手術誘導をうのみにしない
食事が減って体重が大幅ダウンするほか、飲食物が小腸に早く流れ込むことで、動悸(どうき)や発汗、めまいなどを起こすダンピング症候群に悩まされやすい。手術の後遺症がつらいのです。
食道がんの化学放射線療法は、手術にとってかわる可能性を秘めています。国立がん研究センター中央病院は、ステージ1の食道がんを対象に手術と化学放射線療法に分けて5年以上の経過を追跡。その結果、5年生存率は、化学放射線療法が85.5%で、手術が86.5%。手術と同等の成績が示されたのです。
化学放射線療法では、やや再発が多く認められたものの、その後に再発を切除する手術を追加することで、最終的な生存期間に有意差はありませんでした。化学放射線治療で食道を温存できる意義は大きいし、それで再発しても手術できることを示したのも、この試験のポイントです。
これまで外科医は、「食道がんの手術後に再発すると、放射線治療が可能ですが、放射線治療の後には手術ができない」との説明で、手術に誘導することがありました。それで食道を失い、前述の後遺症に苦しむ人が少なくないのです。