「大人の麻疹」に気をつけろ 重症化や合併症のリスクが高い
ただ大人の場合では、高熱や発疹が長く続く傾向があるうえ、合併症も起こしやすいとされている。
「合併症で最も多いのが中耳炎で、麻疹患者の5~15%に見られ、肺炎は6%に認められると報告されています。脳炎は1000人に0.5~1人発症するとされ、約60%は完全に回復しますが、思春期以降に麻疹にかかり脳炎を合併した場合、患者さんの25%に中枢神経系の後遺症が残ります。具体的な症状は、精神発達遅滞、痙攣、行動異常で、致死率は約15%と、危険性はかなり高い。糖尿病を患っている人や、がん治療で免疫力が弱っている人は特に注意が必要です」
重症化したり深刻な合併症を防ぐためには、何より感染対策が重要だ。
「現在、麻疹に対する抗ウイルス薬はなく、解熱鎮痛剤の処方による対症療法しか治療法はありません。感染対策としてマスク着用や手洗いの効果は弱く、唯一の予防法は2回のワクチン接種だけです」
麻疹ワクチンは1978年10月から1回の定期接種が実施されたものの、未接種世代や1回接種の世代がいる。麻疹の罹患歴がない場合は免疫を十分に獲得できていないため、以下に該当する人は注意したい。