著者のコラム一覧
新井平伊順天堂大学医学部名誉教授

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

アルツハイマー病の新薬は認知機能低下を7カ月半遅らせる

公開日: 更新日:

 先週21日、アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」の承認が、厚生労働省の専門部会で了承されました。厚労相が正式承認すれば、アルツハイマー病の原因物質を脳から取り除く初めての薬となります。

 アルツハイマー病が初めて報告されたのは1906年。ドイツの医師、アロイス・アルツハイマー博士が、記憶障害があり、51歳で亡くなった女性の脳を解剖して調べたところ、脳の萎縮とともに脳の神経細胞の外にシミのようなものがあることを発見。「老人斑(現在はアミロイド斑とも呼びます)」と名づけました。

 その後、大きな進歩があったのは1980年代、この老人斑の主成分がアミロイドβタンパクであるという発見でした。さらに1990年代には、アルツハイマー病発症が多い家系の遺伝子を調べたところ、APP(アミロイド前駆体タンパク質)を作る遺伝子の変異があり、それがあるとアミロイドβが固まりやすくなることがわかったのです。そして、英国のジョン・ハーディー教授は、アミロイドβがアルツハイマー病を引き起こす原因に関係しているという仮説を発表しました。

 そして、最大の発見であり、治療にも大きく貢献した研究は、1999年、米国のデール・シェンク博士によるものでした。アミロイドβが原因なら、脳からアミロイドβを取り除けばいいのではないか--。彼が発表した動物実験の内容は、世界の脳科学者に衝撃を与えました。コロナやインフルエンザワクチン接種と同様に、ワクチン接種でアミロイドβに対する抗体が体内で産生。それによってアミロイドβを取り除けることを証明したのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」