「能登半島地震」避難所の食事の現状…高脂質、高塩分のメニューが続き体が悲鳴
【4日目】
昼食:イカ焼き
夕食:唐揚げ弁当
「避難所にいる300人近い人の7割ほどが60代以上の高齢者です。脂っこいお肉や揚げ物がメインの高脂質、高塩分の食事が連日続き、かなり参っています。一方、自宅で避難生活を送っている方は肉などが不足していると聞きます。食を提供する側と提供される側のマッチングがうまくいっていない」
食で被災地を支援することを目的に、料理人を中心に構成された団体は複数ある。そういったところの多くが、野菜がたくさん取れ、減塩・減脂質、消化がよくバリエーションに富んだ献立で、炊き出しをしている。
「ただ、炊き出しの予定やどの企業さんが入ってくるかは自治体が決定しており、現場判断で献立を決められません」
また、企業の炊事は数日間限定の単発的なもので、前後の食事内容などを考慮していない。
「だから、カレーや丼など同じメニューが続くことは珍しくない。かつ、避難所に炊事に来てくれる企業さんは、大手チェーン店がほとんどです。セントラルキッチンで作った食事を提供したり、自社で仕入れている食材を活用したりするため、能登の生産者の野菜や米を使うことにはなりません。能登半島はもともと野菜や米の産地で、食が豊かな地域。断水が解消され、営業を再開したスーパーもある。地元の生産者さんの食材を仕入れて炊き出しに活用してくれれば、地域の経済を回すことにもなる。しかしなかなかそうはいかない」
災害時に避難所などで提供された食事で、健康を害する恐れがあることは、専門家からも指摘されている。
男性は「避難所生活が数カ月にわたる可能性も考えると、統括的に栄養面や献立を管理する専門家が派遣されればいいのですが」と締めくくった。