「チョコレート」が心臓と血管を守るのは本当なのか?
■食生活のローテーションのひとつと考える
一方で、今年1月には、チョコレートの摂取と心血管疾患の発症リスクには因果関係が認められないとする中国の研究が報告されています。
英国バイオバンクからダークチョコレートの摂取量に関するゲノムワイド関連研究(GWAS)のデータ6万4945例を抽出して解析したところ、心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、心房細動といった10種類の心血管疾患との因果関係は認められなかったといいます。
ただ、高血圧に関してはリスクが有意に低減していたことが認められ、研究グループは「本研究はダークチョコレートの摂取と本態性高血圧症のリスク低下との間に因果関係があることを証明するもの」としています。
これまで何度もお話ししてきたように、高血圧は心臓にトラブルを引き起こす代表的なリスク因子です。血圧が高くなると、心臓が全身に血液を送り込む際に大きな力が必要となり、それだけ負担がかかります。血管にも大きな圧力がかかるので、血管の内壁が傷ついて動脈硬化や瘤化が起こりやすくなります。すると狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、大動脈解離といった突然死の危険がある心臓疾患につながるのです。