更年期になると骨粗しょう症や動脈硬化の危険が上昇する…不調なくても要注意
ホルモン補充療法はLDLコレステロールを減らしHDLコレステロールを増やすが、一方で中性脂肪を増やし、LDLコレステロールを小型化させる。すると単に悪玉コレステロールが増えるより、動脈硬化のリスクが高まる。
しかし現在は、これらもクリアされている。
「ホルモン補充療法で使われる薬剤は複数あり、内服タイプの経口剤と、テープやゲルの経皮剤があります。静脈血栓症と動脈硬化は経口剤ではリスクが高くなるが、経皮剤では高くなりません。一番心配されてきた乳がんは、子宮のない人ではエストロゲン単独投与でむしろ減少し、子宮のある人では2021年末から日本で使えるようになった天然型黄体ホルモンをエストロゲンとともに使うことで乳がんリスクが高くならないことが、いくつもの研究で証明されています」
更年期症状の程度が軽くても、エストロゲンの分泌低下は間違いなく起こっているので、骨粗しょう症や動脈硬化のリスクと無縁ではない。更年期になったら、骨量が低下していないか、LDLコレステロールが上がっていないか、検査で確認すべきだ。受診先を迷ったら、「日本女性医学学会」のホームページに更年期に詳しい医師の検索ページがあるので、参考にするといい。