認知症の人が打っておきたい「ワクチン」の種類は?
認知機能が低下するとワクチン接種の必要性を理解できず、注射する際に強く抵抗するケースも少なくありません。以前、とある高齢者施設にインフルエンザワクチンを接種しに伺うと、注射に対する不安から多動になり、施設内を行ったり来たりしている認知症の方がいました。成人した大人でも、いざ注射を目の前にすると誰でも怖くなるものです。気持ちを落ち着かせるため、順番を後にして少し時間を置いたら、すんなり受けてくれました。
在宅で介護している人も同様です。「病院に来たからには絶対に打ってもらいたい」という気持ちは理解できますが、無理やりに打つと本人も嫌な記憶として残りやすい。あまりにも抵抗するようであれば日程を変更し、主治医に協力してもらうのも一つの手です。
▽森川髙司(もりかわ・たかし) 奈良県立医科大学卒業、奈良県立医科大学付属病院で臨床研修医(第2内科)。その後、吉野病院、田北病院内科医長、向山病院副院長などを経て、兵庫県尼崎市に医療法人煌仁会 森川内科クリニックを設立。現在、産業医や校医も務める。