著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

加熱実験でわかった猛暑で高齢者の心臓病が悪化するメカニズム

公開日: 更新日:

 全国的に猛暑が続いています。雨が多く湿度も高いこの時期には、熱中症の危険性が高まることが知られています。また猛暑の時期には、心臓病で亡くなる人が多いことが以前から報告されています。その原因の多くは、心臓を栄養する血管が狭くなったり、詰まったりすることによる狭心症や心筋梗塞によるものと指摘されています。

 それでは、なぜ猛暑になると心臓を栄養する血管に異常が起こるのでしょうか? その原因は正確には分かっていません。今年の米国内科学会の医学誌に発表された論文では、そのメカニズムを検証する目的で、健康な人と狭心症など心臓を栄養する血管に異常のある高齢者に、体温が1.5℃上昇するまで、特殊なスーツを装着して加熱する実験を行っています。

 その結果、健康な人でも心臓病を持つ人でも、ほぼ同じように心臓の筋肉への血流は増加しました。その一方で、心臓の筋肉の一部に血が行かなくなる虚血の所見が、心臓病を持つ高齢者のみで認められました。

 猛暑の状態では、体温を維持するために、汗をたくさん出す必要があります。そのためには、心臓が普段より多くの血液を循環させる必要があるので、心臓の筋肉への血流も増えるのですが、心臓病のある人ではそれに対応出来ずに虚血が起こると考えられるのです。 心臓に病気のある人は、熱中症予防に十分注意する必要がありそうです。

【連載】医者も知らない医学の新常識

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人選手を軒並み“チキン”にしたのは誰の仕業? 阿部監督ついに激怒「チャンスなのに悲壮感」

  2. 2

    選手村は乱交の温床、衝撃の体験談…今大会コンドーム配布予定数は男性用20万個、女性用2万個!

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    賛否の大号泣・阿部詩を支える「今カレ」と「全てを知り尽くす元カレ」…ともに一二三とは“深い仲”

  5. 5

    石丸伸二氏「ファン離れ」早くも加速…“時の人”のはずがトークライブは定員の半分以下

  1. 6

    巨人・平内龍太の「非常識」に阪神岡田監督が激怒、SNS大炎上《あの態度はない。プロとして失格》

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    女子バスケ選手と指揮官に深い溝… 連敗で予選敗退危機「ホーバスHC出戻り待望論」

  4. 9

    河野太郎デジタル大臣「マイナカードは強制ではない」 英BBC番組で世界へ大ウソ発信!

  5. 10

    なぜ巨人は後半開幕戦に「0勝6敗」の赤星優志を指名した? 阿部監督の「思惑」とは