リアルアキバボーイズのけいたんさん 肺炎で「シワだらけで息が吸えない肺に…」退院後も危機感を

公開日: 更新日:

病気を機に事業の多角化を図った

 大きな危機感を持ったのは退院後です。呼吸がちゃんとできないのです。ちょっと走るだけで息が上がってしまい、体力がなくなったことを実感しました。それで病院の先生に相談したり、インターネットで肺炎の治し方を検索して、毎日10~15キロ歩くことにしたのです。時間を18時からと決めて2時間ほどひたすら歩いて、疲れたらタクシーで帰るという毎日でした。2週間過ぎた頃からジョギングを交ぜて歩いたり走ったり。1カ月後の検査では肺のシワが伸びて、感覚的にもいい感じになりました。

 同時進行で筋トレも頑張って、踊れる体に戻ったのは4カ月後ぐらい。お酒はしばらく体が受け付けなかったけれど、体の調子が戻ってきたあたりで、少しずつお酒の調子もよくなりました。

 このときの肺炎は、その後の経営者としての考え方に影響を与えました。それ以前にコロナ禍で多額の損失を出して会社が傾きかけたこともあるのですが、病気を機に事業の多角化を図りました。それまではイベントとタレント事業が売り上げの大半だったところ、10本ぐらいの事業を動かすようになったんです。何かがコケても大丈夫なように手を広げました。病気にならなかったら、今の会社の大きさにはなっていません。

 基本は損して得を取る派なんです。ネガティブなことがあってもアレンジしてポジティブにもっていくことしか考えない。1つの行動で3つぐらい利益を取ることを考えるような人間です。「いくつもの会社を経営していて大変ですね」と言われますけど、たぶん自分は多動症なんです。

 1つのことに集中するのが嫌いで、常に3~5つのことを並行して考えてしまう。才能とかじゃなくて、きっと“疾患”なんです。

 じつは生まれたとき、呼吸をしていなかったんですって。「太」という名前にする予定だったけれど、死んじゃうかもしれないと思って、オトンが自分の子だという証しを残すために自分の名前の「敬」を足して「敬太」になったんです。だから、そのときの脳障害なんじゃないかって、マジで思っています。

 病気からは休むことも大事だと学びました。というのも、自分は無限に仕事を取ってきちゃうタイプなので、365日のうち360日は仕事で、残りの5日は熱を出している感じなんです。だから、休むことでやっと仕事がトーンダウンできることも病気になって知りました。なにより良かったと感じたのは、1カ月自分が倒れても、会社がちゃんと回っていたことです。優秀な社員とRAB(リアルアキバボーイズ)のメンバーがいたからこそだと思うので、みんながいて本当に良かったと思ったし、やってきたことが間違いじゃなかったというか、病気がこれまでの自分の人生の“答え合わせ”の機会になったと思っています。

 夢だった日本武道館のワンマンライブも実現間近。肺も問題なく、有言実行できることが一番良かったです。やっぱり言ったことを守れる男の子でありたいじゃないですか(笑)。

(聞き手=松永詠美子)

▽榊原敬太(さかきばら・けいた) 1984年、埼玉県出身。2007年、ブレイクダンスとアニメが好きな仲間でダンスユニット「REAL AKIBA BOYZ」(RAB)を結成。現在、人気ユーチューブチャンネルのダンスプレーヤーとして活躍する一方、ビジネスパーソンとしても注目され、全13社を統括するISARIBI株式会社の代表取締役でもある。10月4日(金)には「リアルアキバボーイズ日本武道館-レぺゼン秋葉原-」が開催される。

■本コラム待望の書籍化!愉快な病人たち(講談社 税込み1540円)好評発売中!

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 4

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  5. 5

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  1. 6

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  2. 7

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  3. 8

    NHK新朝ドラ「あんぱん」第5回での“タイトル回収”に視聴者歓喜! 橋本環奈「おむすび」は何回目だった?

  4. 9

    歌い続けてくれた事実に感激して初めて泣いた

  5. 10

    フジ第三者委が踏み込んだ“日枝天皇”と安倍元首相の蜜月関係…国葬特番の現場からも「編成権侵害」の声が