大人にも増えている「重症喘息」の切り札となる治療薬
その指標となるのが、主に免疫細胞である「好酸球」や、アレルギー反応を引き起こす「IgE抗体」、呼気中の「一酸化窒素(NO)」の値だ。
「IgEが高値の場合には、『オマリズマブ』が選択されます。これは喘息のもととなるアレルギー反応を抑える効果があり、最近では重症花粉症にも適用されています。好酸球の値が高ければ、好酸球の分化や活性化に関わるIL-5の働きを抑える『メポリズマブ(商品名ヌーカラ)』や、『ベンラリズマブ(商品名ファセンラ)』が有効です。また、前者に比べて好酸球もIgEもそこまで高値ではない場合は、炎症反応に関わるIL-4とIL-13の働きを抑える『デュピルマブ(商品名デュピクセント)』が有効です」
ほかにも、好酸球やIgEが高値でなく、アレルギーの機序がはっきりしない重症喘息にも有効な「テゼペルマブ(商品名テゼスパイア)」が22年に新たに認められた。ベンラリズマブを除いた生物学的製剤は、いずれも自己注射が可能だという。
都内在住の90代女性は、吸入治療の効果が乏しく、重度の息苦しさから80代後半でメポリズマブを開始。長年付き合った呼吸苦から解放され、現在は週に1回、美容師として働いている。