大人にも増えている「重症喘息」の切り札となる治療薬
再発に限らず、喘息のリスクになりやすいのが風邪だ。ほかにも、気圧や寒暖差といった天候、ホコリ、疲労やストレスのほか、たばこやアルコール、妊娠などの関連が指摘されている。
「気道の炎症を抑える『吸入ステロイド』の登場で、喘息はコントロールできる時代になりました。近年は、吸入ステロイドに気管支拡張作用がある『長時間作用性β2刺激薬』が含まれた配合薬が主流になりつつあります。これらの治療薬により、70年代後半に年間6000人だった喘息死者数は、現在、1000人にまで大幅に減少しています。ただ、喘息患者の約5~10%は、高用量の吸入ステロイド薬を使用しても症状が安定しない『重症喘息』とされています。そこで切り札となるのが生物学的製剤です」
■80代後半で呼吸苦から解放されたケースも
09年に国内で初めて重症喘息に対する「オマリズマブ(商品名ゾレア)」が登場。現在は、計5種類の生物学的製剤が認められている。いずれも喘息症状を抑えるといった効果は同じだが、治療薬ごとに作用するメカニズムは異なる。