観光シーズン真っただ中 地震に負けず「鳥取営業中!」
先月21日、マグニチュード6・6の地震が鳥取県中部を襲った。倉吉市、湯梨浜町、北栄町で震度6弱の激しい揺れを観測。住宅の被害は1万2767棟で、11月24日現在も14人の方が避難生活を余儀なくされている。観光への影響も大きく、震源地に近い三朝温泉ではキャンセルが1万件を超えた。あれから1カ月余り、被災地はどうなっているのか。秋深まり、観光シーズン真っただ中の鳥取県中部を巡った。
■震度6に耐えた伝統の白壁土蔵
倉吉市といえば、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている「白壁土蔵群」。瓦や土壁が崩れ落ちた映像が頻繁に流され、被害の大きさを感じさせたが、はたしてどうなのか。
倉吉観光マイス協会の観光ガイド、福本光春さんは「揺れはすごかったけど、建物は瓦や土壁が落ちただけ。柱が折れて倒れたなんてのはひとつもなかった」と胸を張る。
倉吉の旧市街地は、南北朝時代に打吹山に築かれた城の城下町として発展。江戸時代は陣屋町、末期から明治にかけては倉吉絣や稲扱千歯(収穫した稲穂から、もみ粒をしごき取るための道具)などの特産品で栄えた。
今もその頃の伝統的建造物が168戸も残る。特徴は白いしっくい壁に黒の焼き杉板、そして赤瓦。なぜ板を焼いたかというと、いざ火事の時に水をかけると、抜群の防火性能を発揮したからだという。そのような生活の知恵で、激動の時代を生き延びてきた建物たちは、たった一度の地震くらいじゃビクともしない、ということだろう。