小池都知事の空疎な言語センス オミクロン株急拡大を「首都直下地震に相当」と過剰表現
■発言は有効性に乏しく空疎なものばかり
11日にはこんな発言も飛び出した。小池知事は現下の状況を「首都直下地震に相当」と表現した。感染者や濃厚接触者がエッセンシャルワーカー、都市インフラの従事者に広がれば、医療体制に止まらず都市活動・社会活動の停止にもつながりかねないとの危機感の表れだったのだろう。
言いたいことが分からなくもないが、都市インフラが物理的に破壊され数万人の死者が想定される首都直下地震を持ち出してコロナと対比するのは、いくらなんでも過剰表現ではないか。おそらく専門家から聞かされた情報を自分の中で増幅させて「よし、これはいける!」とピンときてしまったのだろう。「首都直下地震」の比喩に都民の皆さんがピンときたかどうかは不明である。
そもそも論で言えば、首都直下地震に匹敵するほどの危機的な状況なら、なぜ、年末年始の時期、8人までの飲食を放置したのか。年明け早々、岸田首相に会った際「オミクロン株の分析を」などと呑気に構えていたのか。
オミクロンの感染力への懸念は昨年12月初旬には指摘されていたことだ。「先手先手」と言っていたのはどこの誰だったのか。しかも、小池知事は首都直下地震発言に続けて、民間企業に対して1割減の人員でも事業が継続できるように要請したが、大企業ならともかく、中小企業が即応できるはずもない。今ごろ言われても、目の前のコロナ急拡大に間に合うわけはないだろう。
結局、小池知事の言葉は、その時その時でカッコいいことを言っているように聞こえても、所詮はオーバーアクション。有効性に乏しく、空疎なものが多い。小池知事のこうした特異な「言語感覚」を、都民は決して忘れてはいけない。知事発言には引き続き、眉に唾して聞き耳を立てる必要がある。