岸田首相の能登視察は90分以下…あまりの“駆け足”に被災者冷ややか、寄り添う姿勢見えず
防護服一枚ににじむ「やってる感」
その後、岸田首相は陸自ヘリで被災現場を上空から約26分にわたって視察。そのまま珠洲市へと移動し、約310人が身を寄せる同市立緑丘中学校を訪問した。こちらも滞在25分で切り上げ、そそくさと石川県庁へ足を向け、午後4時24分に石川を後にした。
視察後、岸田首相は県庁内の会見で「被災者のためにできることは全てやるとの決意のもとで、現下の震災対応、被災者の生活と生業の再建支援に全力で、取り組んでいく」と強調。今月中にも1000億円超の予備費の使用を決定する意向を表明した一方で、被災現場の視察は避難所2カ所への訪問と上空からの確認だけ。合わせて正味1時間半に満たない。
それでいて「きめ細かく対応を考えていかなければならない」と神妙に語っていたのだから、いかに言行がチグハグなことか。
ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「ただでさえ初動対応が遅れたのだから、まずそのことを謝罪したうえで被災者の言葉に耳を傾けるべきではなかったかと思います。石川県内では2万人近くが避難生活を余儀なくされています。たった2カ所の避難所を回り、それぞれ30分に満たない意見交換で、どうやって被災者のニーズを把握できたというのでしょう。被災者支援や医療の専門家への聞き取りも十分に行うべきでした。全体的にあまりにも短い視察で、とても『被災者に寄り添う』姿勢は見受けられません」
極寒の被災地に防災服一枚で乗り込んだのも、また「やってる感」のパフォーマンスにしか映らない。リーダーシップも「聞く力」もない宰相では、被災地の不安は増すばかりだ。