「小さいことにくよくよする人」に効く訓練法とは…悩みや不安から驚くほど解放される
忍耐力をつける自習法
忍耐は、慎重な訓練によって強化できる。実際に時間をくぎって訓練する方法が効果的。これから忍耐を自習しようと決め、そのための時間をとるのだ。人生は教室、学科は忍耐というわけだ。最初は5分から始めて、慣れるにつれて時間を延ばしていく。まず自分に「よし、これから5分間、ぜったいにイライラしないぞ。忍耐強くなるぞ」と言いきかせる。
やってみるとびっくりするほど効果がある。忍耐しようと意識すると、ふしぎなことに忍耐の井戸が深くなる。ほんの5分でも忍耐することを覚えると、自分が本当は忍耐できる人間だとわかり、もっと時間を延ばしてもいいという気になる。それを繰り返していけば、本当に忍耐強い人になれるかもしれない。
私には幼い娘たちがいるから、忍耐を自習する機会はいくらでもある。たとえば、大切な電話をかけようとしているとき2人の質問攻めにあうとする。そんなときは「今こそ忍耐の自習には絶好のチャンスだ。これからの30分、できるかぎりがまんしよう」と自分に言う(ほらね、私は努力して30分まで時間を延ばせるようになったのだ)。
冗談はともかく、効き目はすごい──それは家族にも伝わるのだ。私がカリカリせずに落ち着いていると、娘たちをうまくなだめることができる。意識を忍耐することに向けるだけで、いまの状況を平静に受け入れることができるようになる。
頭に血がのぼった状態だと「またかよ、いいかげんにしてくれ」としか考えられない。こっちが忍耐強くなろうとつとめると、その思いは娘たちにも伝わり、「パパをカリカリさせても楽しくない」と自然にわかるようになる。忍耐強くなると、客観的な視点がキープできる。
大変な状況のときでも目の前の問題が「生死にかかわる大事件」ではなく、落ち着けばすぐ解決する「ちょっとしたこと」にすぎないと思えるようになる。そうじゃないと同じシナリオが非常事態に変わり、どなったり叫んだり血圧が上がったりと修羅場になってしまう。そこまですることはない。
子供、上司、気難しい人、困った事態──相手はだれであれ「小さいことにくよくよしない」ためには、忍耐力の強化が先決だ。
▽リチャード・カールソン(著者) 心理学者。ストレスコンサルタント。ユーモアにあふれ、率直でわかりやすく、しかも誰にでも実践できそうな「くよくよしない」ヒントを提唱。著作やテレビ出演、講演多数。著書に『(文庫)マンガで読む 小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)などがある。
▽小沢瑞穂(訳者) 東京都出身。訳書に『小さいことにくよくよするな!』(サンマーク出版)、P.モーリエ他編『CHANEL 自分を語る』(さくら舎)、ジーン・リース『サルガッソーの広い海』(みすず書房)、マルロ・モーガン『ミュータント・メッセージ』、エィミ・タン『ジョイ・ラック・クラブ』(角川文庫)、著書に『やっとひとり』(晶文社)など。