クリエイティブディレクター山﨑晴太郎氏に聞く 忙しい現代人の「心の余白」の作り方

公開日: 更新日:

「気づけば今日もこんな時間…」。

 仕事や家事育児など、日々に忙殺されながら生きる現代人は、心の余裕がなくなりがちです。

 東京五輪の表彰式やグッドデザイン金賞の受賞など、社会問題をデザインの力で解決するクリエイティブディレクターで、3児の父親である山﨑晴太郎さん(41)に、もっと自分らしく生きるためのヒントを伺いました。

 ◇  ◇  ◇

 ──『余白思考』(日経BP)を出版した理由を教えてください。

  今の社会や世界全体で「余白」がなくなってきていると思います。その原因として、すべての物事に対して解像度が上がりすぎているのではないでしょうか。

 例えば、以前LGBTQ+問題は一定の曖昧さを持ったまま存在していましたが、現在は区分けられ “ラベル”が貼られて基準を明確にしすぎている部分もあると思うのです。多様性を認める意味なら「善」ですが、それで生きづらくなった側面もあるでしょう。

 働き方でも余白は失われてきています。とくにリモート会議は、時間的・感情的にも詰め込みすぎです。コロナ前は、こんなに多くの打ち合わせはなかったですよね。すぐに始められてすぐに終了できるため、30分単位で隙間なく予定が組めてしまう。

 僕もたまに、1日12件とかのリモート会議があって、自分のスケジュールを見て正直驚いています。僕はいつ、トイレに行けばいいんだろうって…(笑)。

 ──アーティストやデザイナー、会社経営以外にも様々な仕事をされていますが、日々の余白はどうやって捻出していますか。

 余白は意識しないと作れません。僕の場合は、余白を確保するために、スケジュールを工夫しています。水曜日は会議などで忙しいけれど、その代わりに火曜日や木曜日は制作に時間を充てたり、まとまった時間をつくるようにしています。

 すべての曜日を同じペースで万遍なく予定で埋め尽くすと仕事の時間に余白がなくなるため、意識的にメリハリをつけています。

 また余白を作るためには、無心になって、思考をクリアにするのも必要不可欠です。サウナや筋トレでリセットするのも良いですが、僕は最近、ノイズキャンセリングイヤホンにハマっています。

 新幹線の移動では、周囲のノイズが消えた状態で、新横浜〜名古屋間の街並みをぼーっと眺めています。一個一個の家に、どんな人が住んでいるか、どんな生活を営んでいるか、想像をめぐらせるのが楽しいんですよね。

 イメージとしては、お風呂に頭まで潜る感覚と同じで、自分と社会の間に何か余白として膜を張る行為ができると、余計な思考をそぎ落とせると思っています。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    フジ火9「人事の人見」は大ブーメラン?地上波単独初主演Travis Japan松田元太の“黒歴史”になる恐れ

  3. 3

    PL学園で僕が直面した壮絶すぎる「鉄の掟」…部屋では常に正座で笑顔も禁止、身も心も休まらず

  4. 4

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  5. 5

    三浦大知に続き「いきものがかり」もチケット売れないと"告白"…有名アーティストでも厳しい現状

  1. 6

    松嶋菜々子の“黒歴史”が石橋貴明セクハラ発覚で発掘される不憫…「完全にもらい事故」の二次被害

  2. 7

    伸び悩む巨人若手の尻に火をつける“劇薬”の効能…秋広優人は「停滞」、浅野翔吾は「元気なし」

  3. 8

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  4. 9

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  5. 10

    下半身醜聞の川﨑春花に新展開! 突然の復帰発表に《メジャー予選会出場への打算》と痛烈パンチ