横須賀「大衆酒場ぎんじ」では黄色い声の女子を店がたしなめ…こういうのがいい
横須賀の街を歩いていて感じるのは外国人観光客の少なさだ。
歩いている外国人のほとんどは米軍関係の兵隊さんばかり。普段着でもヘアスタイルを見ればわかる。どうやら東京方面からの外国人観光客のほとんどは北鎌倉で下車するようだ。
横須賀は確かに米軍基地くらいしかなく、日本でアメリカっぽい雰囲気が味わえるというだけで取り立てて見るべきものがあるわけではない(失礼!)。
が、我々、昭和還暦世代にとっては忘れられない街なのだ。なぜなら「横須賀ストーリー」の歌詞とメロディーが心に刻まれているから。ああ、百恵ちゃん……。そんな思い出の街を一軒だけで後にするわけにはいかない。中央酒場がある駅前の路地には他に4、5軒の渋い居酒屋が軒を連ねている。目的の店が開くまで、そこで時間をつぶすとしよう。
いい感じに下地ができて、時間もちょうどいいので目的の名店「ぎんじ」(写真)へ。初めての店。路地の奥にある古い木造の店の前にはすでに5、6人が並んでいる。暖簾がかけられ店内へ。
なるほど。こいつは渋い。左側に10人ほどのL字カウンターと、右の木枠のガラス窓の横にテーブルが4つほど。アタシは燗つけ用の銅壺の前に陣取る。カウンター内は昔の日本家屋にありそうな広い厨房。奥には座敷が……。すると「うわ~、田舎のおばあちゃんちみたい」。黄色い声が響いた。テーブル客の女子だ。すかさず「お静かにお願いします」。優しい声だが、有無を言わせぬ口調でたしなめられた。注意したのはアタシの目の前にいた店主らしき女性。こういうのがいい。