記者は見た!ネズミ対策先進都市の東京千代田区で体長20cmの巨大ドブネズミを捕獲
対策課長は「まるでゾンビ」
結果、この日、捕獲されたのは50個の仕掛け中、わずか3匹。一斉駆除の効果が無事証明され、めでたしめでたし……と思っていたところ、後日、取材を行った千代田区保健所生活衛生課長・市川健介さんは「まだまだネズミとの戦いは続きます」と言い、こう続けた。
「前回の一斉駆除は3カ月かけて、殺鼠剤の使用から捕獲、そして地中の巣穴の退治まで、徹底して行いました。それでも、3カ月後には再び現れる。まるでゾンビですよ」
ネズミ対策の難しさと同時に、戦いへの強い覚悟を感じる。しかし、現場で3匹しか捕獲されていないにもかかわらず苦情が倍増しているのは、不可解ではないだろうか。
「苦情件数の倍増は、ネズミの増加を意味するのではなく、住民のネズミへの関心が高まった結果だと分析しています。生息調査でも減少傾向にありますが、満足して放置してしまったら、まさに“ネズミ算”で増えてしまう。住民の方の協力を得て環境全体を改善していく必要があります。え、私がネズミだったら? うーん、まだ千代田区には住み続けますかね」
現場と同区の徹底ぶりを垣間見た今、もしネズミだったらと思うと、臆病者の記者はすぐにでも逃げ出したい。
(取材・文=橋爪健太/日刊ゲンダイ)