錦糸町「三四郎」で薄い琥珀色のチューハイが出てきたのは注文から10分後だった
名物ウナギのくりから焼きも時間が…
開店の午後5時を少し回った時間だが、すでにカウンターに半分ほど客が入り、4人掛けテーブルはいっぱいだ。コの字というよりV字カウンターの右手前に滑り込む。
磨き抜かれた白木のカウンターが歴史を物語る。創業は昭和26年。最近のコの字酒場ブームでかつては目にしなかった若い男女が多い。カウンター内と厨房は合わせて3人体制。これだけの客をさばくのは大変だ、と思っていたら、案の定、テーブルのおじさんたちから「生ビールまだあ?」ときた。アタシは手のかからないポテサラ(400円)とチューハイ(500円)を注文。下町流の薄い琥珀色のチューハイが来たのは10分後。ほとんど飲み終えたあたりでポテサラが来た。文句は言うまい。気の短いオッサンだと思われたくないからね。開店して一気に客が入ってきたから、ま、しょうがないってことで。
名物ウナギのくりから焼きも時間がかかりそう。自由が丘のほさかやでは「からくり焼」、三四郎では「くりから焼き」。店によって呼び方が違う。なぜ? 今日はとても話を聞く余裕はなさそう。宿題にしよ。ポテサラをつまみながら2杯目のチューハイを飲み終えたところで早々に退散。まだ余裕の胃袋と肝臓が騒いでいるので2軒目を探す。
かつて錦糸町といえば、風俗タウンとして全国的に有名だった。とくに南口周辺は色とりどりの看板、ネオン、客引きで大賑わいだったが、だいぶおとなしくなった気がする。きっと店舗型が減って、デリが増えたためだろう。要するに、地下に潜ってしまったということか。
それでもピンサロは相変わらず元気そう。横目でネオンを見ながら、アタシは残り少ない後ろ髪を引かれつつ次の店に向かうのでした。
(藤井優)
○三四郎 墨田区江東橋3-5-4