著者のコラム一覧
本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。“東京の異界シリーズ”第5弾「高田馬場アンダーグラウンド」(駒草出版)発売中。「全裸監督 村西とおる伝」(新潮文庫)が、山田孝之主演でNetflixから世界190カ国同時配信決定。

「降りたことのない駅」には何がある?

公開日: 更新日:

<「近すぎる」

 西武新宿線都立家政駅に降りた私たちは、南口改札口を出て踏切に立つと、信じられない光景に出くわした。>

 今週書店に並んだ「東京降りたことのない駅」(本橋信宏著・大洋図書)の冒頭である。

 所沢から高田馬場まで学生時代、急行に乗って大学に通っていた私は、都立家政という駅名に違和感を抱いていた。

 都立家政という学校は存在しないのだ。

 数十年にわたって疑問に感じていた各駅停車しか止まらない駅に初めて降り立ち、お隣の急行が止まる鷺ノ宮駅を見やると、その距離わずか300メートル、ホームが丸見えである。

 強引とも思える駅の位置。

 戦前、東京府立高等家政女学校という家政科の女子校が存在した。学校と父兄が最寄り駅を開設するように西武鉄道に陳情し、1937(昭和12)年、都立家政駅の前身、府立家政駅が開業、6年後、太平洋戦争まっただ中に都立家政駅に改称、その後、駅名は変わらず現在まで残った。

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