新型コロナでは開発中止も…「アビガン」が世界初のマダニ感染症治療薬として復活
国立感染症研究所によると昨年は国内で過去最多となる133人の感染を確認。13年以降では今年4月までに963人が発症し、うち106人が死亡したという。単純計算で致死率は10%を超えていることになる。
ただこれまでは有効な治療薬はなく、対症療法で全身状態を管理していくしか手だてがなかった。そこに颯爽とアビガンが登場したわけだ。ウルトラマンのごとく。
アビガンは約10年前、富士フイルムホールディングス(HD)傘下の富士フイルム富山化学と富山大学との共同開発で製品化された抗インフルエンザ薬。「既存薬が効かない新型インフルエンザの流行などに備えることが開発動機だった」(関係者)ともされている。
しかし動物実験で胎児などに奇形を生じさせる「催奇形性」があることが判明。妊婦などの服用による“薬害”を恐れた厚労省は国家備蓄に回した。
今回ようやくそれを生かせる局面が訪れたことになるが、「SFTSの特効薬とまでは言い難い」(医療関係者)のも事実。マダニとダニのようなやつには今後も気を付けた方がよさそうだ。