著者のコラム一覧
小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

安さだけじゃないチャイニーズEV! BYD第3弾「シール」はコスパに加えて味だってスゴい

公開日: 更新日:

BYD シール(車両価格:¥5,280,000/税込み~)

 ま、マジか? 想定外の長澤まさみCMでクルマ好きたちを戸惑わせている中国新興EVブランド、BYDがまたやってくれた。 

 昨年1月に400万円以下スタート(補助金込み)SUVのATTO3、9月に300万円以下コンパクトのドルフィンを発売。それに続いて今回は第3弾たるEVセダンのシールを発売したのだが、これが意外にも「安さが一番の売り」ではないのだ。それ以上に走りであり、上質感が凄いから絶妙に恐ろしい。

 サイズは全長4.8m×全幅1.875mでテスラモデル3やBMWi4らを意識したプレミアムセダンクラス。

 何よりスタイリングが競合に負けない流麗フォルムで、正直SEAL=“アザラシ”たるイメージはほぼナシ。ドルフィンとは違うBYD版レクサスのような佇まいだ。

 インテリアもBYDとしては珍しく(?)シート表皮に上質ナッパレザーを採用。トリムにスウェード生地や質感の高いパネルを採用し、今までの「安くて良質なアジアEV」という趣きではない。

航続距離575km、0-100km/h加速が3.8秒!

 自慢のデジタル性能も充実しまくりで、テスラも驚く縦横回る15.6インチの横長ディスプレーを備え、メーターも完全デジタルな10.25インチ。加えやたらデカいパノラミックルーフや運転席助手席シートヒーター&ベンチレーション、2カ所のスマホワイヤレス充電、PM2.5空気清浄システムから4Gインターネット接続、BYD自慢の幼児置き去り検知システムを全車全グレード標準装備だ。

 骨格もATT03らと同じeプラットフォーム3.0ではあるが、シールに関してはさらに剛性と効率を高めたセルトゥボディを採用。加えてパワステはダブルピニオンでフィールを高め、AWDモデルは可変ダンパーと、かつてないiTACというスリップ制御システムを採用している。後者はタイヤの空転ではなく、モーター軸の空転を検知して制御するもので、レスポンスが恐ろしく速い。滑りやすい路面の走りが気になる。

 最後に走りを決定付けるパワートレインだが、電池はBYD自慢の燃えにくいリン酸鉄リチウムイオンバッテリーで、容量は82kWh強。後輪駆動のRWDは313psを発揮し航続距離は640km。四駆のAWDは前後モーターで530psを発揮し、航続距離575kmで、0-100km/h加速が3.8秒と激速!

BYDは日本では「ズルい存在」

 何より乗るとBYDらしからぬ(?)ほど上質で滑らかで、個人的にはRWDの方がナチュラルで好み。ただし速さなら断然AWDがイイ。静かさならアウディ、走りの骨太さならメルセデスやBMWには敵わないだろうが、価格を考えると性能は十分。なんだかんだRWDが528万円(税込み)、AWDが605万円(税込み)と圧倒的に安いのだ。

 むろん中国EVは国際的商取引を考えると、ちとズルい存在だ。中国で売られる新車は基本、現地生産車優先で、輸入車には多額の関税や贅沢税的なものが付加される。中国で売るEVには、中国産電池を積まなければいけないという厳しい制約がある。

 比べると、日本に入ってくる輸入車には基本関税はなく、中国産電池を積んだ中国産EVも自由に売っていい。それがまさしくBYDだ。

 もちろん、今年度に入ってBYDのクリーンエネルギー自動車導入促進補助金は減らされたが、それでも中国で売られる日本ブランド車を考えると圧倒的にフリー。それを考えるとBYDはズルい。

 しかし色々決めたのは我が日本政府であり、BYDオートジャパンに罪はない。判断するのはあくまでも日本国民なので、欲しくなった人は買っちゃうわけなのである。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    ふざけるな、石破政権もサラリーマン増税かよ!潰れたはずの「退職金課税」政府税調で再浮上

  2. 2

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  3. 3

    玉木雄一郎氏に「包囲網」…“グラドル不倫”騒動収まらず、自民・立憲・財務省で思惑一致

  4. 4

    飛び交う玉木雄一郎代表「12月辞任説」…国民民主党ついに倫理委員会で“グラドル不倫”調査

  5. 5

    ダイエー、イトーヨーカ堂…日本の小売りを支えた都市型総合スーパーが衰退した理由

  1. 6

    裏金自民「企業・団体献金の禁止」そっちのけで「個人献金の税制優遇」だあ?カネ集めのためなら“斬新策”次々

  2. 7

    斎藤元彦知事「百条委」の欠席理由「全国知事会」はそんなに重要? 自身の過去出席率は4割弱

  3. 8

    自民裏金議員12人が“ドサクサ復権”の仰天! 党役職抜擢の全員が政倫審での弁明は拒否した面々

  4. 9

    物議醸す石破首相の「座ったまま握手」は外務省の大失態! 外交デビューにミソ、元国際情報局長バッサリ

  5. 10

    1ドル=160円台の“悪夢”再来か…植田日銀「利上げは情勢次第」発言でズルズル円安に

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動