「ブラックモンブラン」竹下製菓が最大の危機に…事業拡大の矢先、右腕の夫と会長の父に先立たれ
3人の子供たちを残して突然旅立った夫
「スカイフーズにグループの仲間入りしていただいたのは、九州で製造販売している弊社が災害時の生産拠点の確保を目的としたBCP(事業継続計画)によるものでした。その前年に佐賀県で起こった豪雨で本社工場付近が浸水したことがきっかけでした。
ここ数年は埼玉の工場を夫に任せていて、佐賀には月1、2回、週末に戻ってくるという生活でした。亡くなった時も夫は金曜日に佐賀に戻ってきて、土曜の朝から会社に出勤しました。その日は子どもの中学受験が終わった日でもあったので、夜は家族で久しぶりに外食をして、みんなでベッドで川の字になって就寝しました」(竹下真由さん)
異変が起こったのは、明け方のこと。突然「ズドン」という大きな音がしたので、びっくりして飛び起きるとベッドから落ちた雅崇さんが大イビキをかいていた。その後、雅崇さんは目を覚ましてトイレに向かったものの、なかなか戻ってこない。様子を見に行った長女が「パパが倒れている」と叫び声をあげたため、慌てて駆け寄ると雅崇さんはトイレで倒れ込んでいたという。
救急搬送された雅崇さんの心肺は蘇生したものの、くも膜下出血で危険な状態で、さらにコロナ陽性が判明。意識がないまま、倒れてから3日後に亡くなった。病室に入ることができなかった子供たちは、救急処置室で最後のお別れとなってしまった。
3人の子育て中でもある真由さんは悲しみに暮れる暇もなく、創業以来のピンチにどう向き合い、乗り越えようとしているのか。夫の死からおよそ半年、初めて心境を語ってくれた。
(取材・文=西郡幸子/ライター)
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働き盛りの夫・雅崇さんだけでなく、父・敏昭さんまで立て続けに失った“ブラックモンブラン”竹下製菓の5代目社長、竹下真由さん。直面した最大の危機と、夫が最後に遺してくれたものとは――。
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