パリサー・キャピタルが東京建物の株式1.5%取得 英アクティビストが圧力をかける狙い
スミス氏はパリサーを創業する以前、世界有数のアクティビスト、エリオット・マネジメント出身のアクティビストで、2021年にパリサーを設立。今年の京成電鉄の株主総会では、同社が保有するオリエンタルランド株の一部売却を求める株主提案を行い、話題を集めた。
このパリサーの要求に、東建は平静を保っている。そもそも東建は安田財閥の創始者、安田善次郎が1896(明治29)年に設立した日本で最も古い歴史を持つ総合不動産会社。芙蓉懇談会にも加盟する名門だ。経営陣も「歴代幹部にはみずほフィナンシャルグループの要職を歴任した人物が就いており、現在会長の種橋牧夫氏もみずほ銀行副頭取まで務めた」(みずほ関係者)という。
一般顧客には分譲マンション「Brillia(ブリリア)」シリーズで知られる東建だが、高級賃貸マンションほか、SPC(特別目的会社)を活用した再開発を得意としており、「オリナス」(錦糸町)や「VIORO」(福岡・天神)、「大手町タワー」(千代田区、みずほ銀行本店ビル)などのプロジェクトがある。
東建の23年12月期の有価証券報告書によると同期末時点の政策保有株は非上場株も含めて約1040億円で、総資産の5%強に相当する。このうちヒューリック株が約601億円と過半を占める。
パリサーの要求について、みずほ関係者は、「ヒューリックの業績は好調で、東建の事業とのシナジー効果もある。株価も今年に入り下落傾向にあるが、長期のスパンでみれば高値圏を維持している。売却しなければならない理由はない」と反論するが……。