「畳む前に考えたいM&A」地方の親族企業や親の営む定食屋も、売却の選択肢がある
「今ある事業をどうしようかと行き詰まったとき、廃業することしか考えてない人がすごく多いと感じます。でも、その事業の本当の価値というのは、経営している本人も気付かないところにあると私は思います。だからM&Aには第三者の視点が必要なんです。その視点を持つのがM&Aの仲介業者だと思います」
芳子氏はもともと二つの会社を経営していたが、2012年に一社をM&Aにより売却。しかも売却後、雇われ社長として8年間も同社の経営に携わり、売却前に約13億円だった売上を約44億円にまで成長させた後、会社を去った。こういうユニークな方法もあるのだ。
芳子氏によるとM&Aは結婚に喩えられるという。例えば仲人……つまり仲介業者に間に入ってもらう方がスムーズに進む。なぜなら、金銭的な話やシビアな話も多いため、当事者どうしだと話を進めるのが難しい場合も多々あるからだ。
また、間に入る仲介業者は一社でも、売り手側と買い手側それぞれに担当者がいる方がよいという。同じ担当者が一人で担当すると、売り手と買い手の利益相反が起こる場合、一方だけに肩入れしてしまう可能性があるからだ。民事裁判においては、原告・被告の双方に別々の弁護士がつくことを考えると、より分かりやすいかもしれない。