「103万円の壁」は年金生活者らには無縁…物価高対策は解決できるのか?
連合は11月28日の中央委員会で、25年の春季労使交渉(春闘)における賃上げ目標を正式決定。基本給を上げるベースアップと定期昇給を合わせた賃上げ率は、全体で5%以上、中小企業で6%以上とした。「同一労働同一賃金」とはいえ、正社員中心の賃上げが派遣社員やパート、アルバイトにストレートに反映されるだろうか。
企業にとって春闘の賃上げは「人件費」の増加要因で、その原資は仕入れ価格の値下げ、あるいは据え置き、販売価格の値上げだ。現在の物価上昇は、好景気のディマンドプルではなく、人件費増加のコストプッシュのインフレである。
■年金生活者はほぼ無縁の「年収の壁」
政府は補正予算案を12月上旬にも今臨時国会に提出し、年内の早期成立を目指している。国会は年金生活者らに無縁の「103万円の壁」と枝葉末節の議論に明け暮れているが、これで物価高が解決できるのだろうか。
こうした中、第2次石破内閣の石破茂首相と政務三役計11人が代表を務める政治団体が、23年に飲食などの名目で1回に10万円以上を計上した事例が101件に上ることが判明、総額は計約1925万円。支出先には、庶民には無縁の料亭や高級フランス料理店が並び、同じ日付で複数の店に計100万円以上を支払ったケースもあった。割安食品を探し回り、1日1000円でやりくり、物価高で苦しむ国民は置き去りか――。