つくづく酷い国にした自民党 GDPは陥落、政治家はボロ儲け、国民には骨までしゃぶるインボイス
自民党と経団連の癒着が招いた日本沈滞
この国の衰退と庶民の不安、懐の苦しさはすべて政治が原因ではないのか。日本の国力低下は、自民党の裏金蓄財の歴史とともにある。
安倍派(清和政策研究会)で、政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分をキックバックして裏金化するスキームについて、「遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い。場合によっては20年以上前から行われていたこともうかがわれる」と報告書に記されている。当時の清和会は森喜朗会長。そして小泉純一郎首相の頃にあたる。
「構造改革」の名の下、小泉・竹中政権が今に続く「格差社会」の元凶なのは衆目の一致するところだ。「強い者はより強く、弱い者はより弱く」という新自由主義路線で、日本の雇用はメタメタにされた。正社員はどんどん非正規に置き換えられ、派遣労働が製造現場を含むあらゆる分野に拡大。企業が労働者を資産ではなくコストと考えるようになった。
給料の安い非正規を増やせば、企業は人件費を抑えられ、見せかけの利益は増える。その結果、日本が誇ってきた「分厚い中間層」は破壊されたと言っていい。その背景で経団連は、90年代の政治改革によりいったんやめた企業献金の斡旋を復活させ、自民党との癒着を深めたのである。
その後、自民党は09年に下野したが、3年3カ月で政権復帰すると、安倍政権が大企業優遇を加速させる。法人税減税を毎年のように繰り返し、実効税率を5%近くも引き下げた。「安倍1強」を前に経団連の献金額も増え、いまや年間24億円を自民党側に“献上”している。政治資金集めのパー券も大量購入し、ズブズブの関係だ。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「岸田首相は『コストカット経済からの脱却』と言いますが、まさに自民党が長年優遇してきた大企業が、労働者を顧みず、コストカットを続けてきた末の日本沈滞です。正社員を給料の安い非正規に置き換え、人件費を物件費にして、労働者をモノ扱いしてきた。しかし、大企業は労働者イコール消費者だということを忘れていた。個々の企業にとってコストカットは合理的選択だったものの、それが集団になれば全体として購買力の低下を招く。『合成の誤謬』です。そうした個々の間違いを全体として調整するのが政治や経団連の役割なのに、その責任をまったく果たせていません」
■あまりに不公平
株高に浮かれる連中と物価高に苦しむ庶民──。この対比は、長年の自民党政権が招いた格差の象徴だ。30年以上賃金が上がらず、G7はおろか、OECD(経済協力開発機構)各国からも置き去りにされた今になって、岸田が「物価高を乗り越える賃上げ」の旗を振り、経団連会長が「賃上げは企業の責務」などと言っているのは笑止千万だ。
「賃上げと言っても、岸田政権は財界とつるんで税額控除を拡充した。『賃上げ促進税制』で大企業は最大35%の控除を受けられるが、その尻拭いで、社会保障削減など個人が犠牲になるのです。国民は貧しくなるばかりなのに、大企業と政治家は潤う。あまりにも不公平じゃないですか。裏金事件に国民の不満が爆発するのは当然です」(斎藤満氏=前出)
個別面接方式で実施され信頼度が高いとされる時事通信の最新世論調査(9~12日実施)で、岸田内閣の支持率は16.9%とまたも過去最低を更新した。自民党の裏金疑獄への国民の怒りはハンパない。いつものように「そのうち忘れる」なんて思っていたら、自民党は痛い目に遭うだろう。
今年は500以上の地方選挙がある。保守王国・群馬で、自民系の現職が敗れた前橋市長選と同じことが、他でも起こるのではないか。いや、4月28日に予定される衆院の補欠選挙も、国会会期末の衆院解散などと噂される総選挙も、この先行われるあらゆる選挙で自民党に鉄槌を下すしかない。つまり、自民党政治を終わらせなければ、この国は真に浮上することはできないのだ。