検証「ニッポンの死刑」(下)犯罪被害者遺族の感情は決して一様ではないことを忘れてはならない

公開日: 更新日:

 死刑制度を考える上で避けて通れないのは、犯罪被害者遺族の感情だ。日本の刑法上では殺人以外でも死刑となり得る犯罪があるが、実際に適用されたことはなく、死刑判決は故意に誰かを死に至らしめた事件に関して下されている。

 事件には被害者がおり、被害者の多くには家族や親類などの遺族がいる。大切な人の命を突然奪われ、残された人が加害者に怒りを覚えるのは当然だろう。

■「死をもって償うべき」

 2019年に内閣府が実施した世論調査では、死刑制度について約8割が「やむを得ない」と回答した。そのうちの6割近くが、理由として「被害を受けた人やその家族の気持ちがおさまらない」ことを挙げている。「犯人は死をもって償うべき」という遺族の声が、死刑制度を支える柱の一つになっているのは間違いない。

 今年7月、法曹関係者や国会議員らが参加し、筆者も委員を務める「日本の死刑制度について考える懇話会」の会合で、被害者遺族の意見を聞く機会があった。

 2007年に起きた闇サイト事件で、当時31歳の長女を殺害された磯谷富美子さん(73)は、殺害の経緯を詳しく述べた上で「ご自分の娘や息子の命、愛する家族の命を奪った加害者に対しても、死刑反対と言えますか」と、集まった委員に問いかけた。

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動