天台宗住職レイプ疑惑 行為の最中に真言や「南無観世音」も尼僧に強要していた
大阿闍梨も加担か
住職Aの寺に行くよう叡敦さんに指示したとされるB大阿闍梨は、宗派では最高クラスの権威。千日回峰行という荒行を修めた「生き仏」だ。母の実家が寺だった叡敦さんは幼少から信仰が深く、2人に逆らえなかった。
17年に叡敦さんは寺から一時脱出。19年に住職Aの行為を強姦罪などで刑事告訴したが、不起訴となった。これを叡敦さんは「仏様のご意思なのではないかと考えてしまった」といい、住職Aと大阿闍梨Bからの説得で寺に戻ってしまう。しかしその際、住職Aに念書を書かせた。
「意思に反して強制的な性暴力行為を行ってきました」「二度と貴殿の意思に反した性行為や(中略)暴力、そして恫喝などを繰り返さないことを誓約いたします」──。住職Aの直筆サイン付きの自白だ。この4年後、叡敦さんは家族の手で寺から救出された。
記者は被害現場となった寺に赴き、住職Aに事実関係を尋ねたが、「宗派の調査を受けることになったので何もお話しできない」と口をつぐんだ。
天台宗側は調査の過程で、叡敦さんや代理人に対してB大阿闍梨の言い分を振りかざし、威圧的な態度も見せたという。そのため叡敦さん側は現在、第三者機関による調査を求めている。宗派の良識も問われる問題ではないだろうか。
(藤倉善郎/ジャーナリスト)