「ささや北千住」3種類のモツを串に刺した煮込みとホッピーに大満足
誤解を恐れずに言うと、職人や肉体労働者が多い街ほど素晴らしい大衆酒場がある。
これは大衆食堂にもいえること。そもそも大衆と冠が付いていることからして、一般庶民のための店であることの証左であろう。彼らは気が短くて手が早く大酒飲みというステレオタイプなイメージがある。タケシ君のお父さんの菊次郎さんみたいな。そんな人がたくさん住んでいたであろう北千住。
アタシの若い頃はやはりちょっと怖い街というイメージだった。アタシが蒲田や川崎の近くに住んでいることを思えば笑止な話だが。つまり、東京の北と南には街工場が多く、職人や肉体労働者も多い。高度成長時代、すなわち昭和を支えた街といえる。だから、この辺りにはいい大衆酒場が多いわけだ。
前置きが長くなったが、その北千住がアカデミックに激変していた。今では住みたい街の上位にランクされている。かといって昔のあの猥雑な雰囲気(失礼!)がなくなったわけではない。仲町出口を左へ行けば酒飲み連中が泣いて喜ぶ酒場通りだ。多くの名店が軒を連ねている中で、今日は煮込みのうまい「ささや」をのぞいてみることに。
店主の草野英雄さんは新宿思い出横丁のささもとで修業し、18年前にこの地でささやを創業。1階は7、8人座れるL字カウンターだけ。アタシはその中央に陣取り、まずはホッピーから(550円)。ツマミは名物の煮込み(726円=写真左上)。ここの煮込みは串に刺したモツを大鍋で煮込んだもの。3種類の串煮込みが平皿に盛られて出てくる。
熱々に七味を振ってバクリ。ホッピーをグビリ。サイコ~! せっかくだから焼いてもらおう。ピートロ、テッポー、上ナンコツ(各242円)。上ナンコツはノドブエとも呼ばれる希少部位。あったら頼むべし。焼いている草野さんに話を聞いた。
「創業した18年前に比べると、この辺りも個人店がどんどん消えてますね。チェーン店が多くなってます」