同居してた外国人教師の一言で悲惨だった生活環境が一変しました
着いた先は、ハワイでも指折りの高級住宅街。本当に杉さんの別荘でした。聞けば、長男で今は俳優として活躍している山田純大君がハワイ大学に留学していて、彼がその純大君に英語を教えているというのです。
杉さんはいらっしゃいませんでしたが、ご家族は僕の野球留学のいきさつを報道で知っていて、6畳のプレハブ小屋に住んでいることを聞くと、「こっちに移ってらっしゃい」と言ってくれました。たまたま純大君と僕は同学年。すぐに意気投合したこともありましたが、何よりそこに日本人がいて、日本語を話せることがうれしかった。お言葉に甘えて、すぐに引っ越し。毎晩、カップ麺をすすっていたのがウソのような恵まれた環境に身を置くことができたのです。家賃も食費もいらないと言ってくださり、今も本当に感謝してもしきれません。
といっても、肝心の練習環境は当初から最悪でした。知人に紹介された練習パートナーは、トミーという大工さん。毎日毎日、トミーと2人で河川敷のグラウンドに行くのですが、たった2人での練習ですから、やることは限られます。打撃練習をしても、打ってる時間より、ボール拾いの時間の方が長いくらい。その年の秋のドラフトで巨人入りの夢をかなえるべく野球留学をしに来たはずなのに、どんどん野球が下手になっていく自分が不安で不安でしょうがありませんでした。(つづく)