凡戦の米デビュー…ボクシング村田は“全勝”でも世界遠のく
「僕のボクシング人生の中で最低の試合でした」
リング上のインタビューがすべてを物語っていた。
8日にノンタイトル10回戦でラスベガスデビューを果たした、ロンドン五輪ボクシング・ミドル級金メダリストにしてWBCミドル級5位の村田諒太(29)。内容は本人の言葉通り、退屈の一言だった。
遠距離からのパンチを狙う村田に対し、ディフェンスに定評のあるガナー・ジャクソン(29)はクリンチを多用。パンチ力はあってもスピードに欠ける村田は連打が打てず、効果的なボディーの後も畳み掛けられない。3-0と大差の判定勝ちで8連勝を収めたものの、笑顔はなかった。
村田は12年ロンドン五輪後、プロ転向してからは日本国内で「かませ犬」とばかり戦ってきた。時間を無駄に使い、29歳でようやくボクシングの本場へ。すでにボクサーとしては若くはない。米国を主戦場にするのも遅いくらいだろう。当然、スターダムにのし上がるために与えられるチャンスは若いボクサーよりも少ない。まずは華々しいデビュー戦で米国のボクシングファンの心を掴み、次のマッチメークも派手に――というのが村田陣営の描いていた青写真だったのではないか。
それがこの日の凡戦。全勝がハリボテであることを露呈した。世界は遠のくばかりだ。