岩隈のケースが教える“メジャーの契約は選手価値の尺度”
13年オフ、田中将大がヤンキースを選んだのはあまたのオファーの中で条件が最も良かったからだといわれる。自分を最も評価しているのはドジャースと思った時期もあったらしいが、最終的にヤンキースの条件が上回ったのだろう。
松井秀喜はヤンキースとの最初の3年契約が切れる05年オフ、決裂覚悟で4年62億円の条件を引き出した。09年にはワールドシリーズMVPを獲得しながら、ヤンキースでは翌年以降、外野手としてのチャンスがないと知ってエンゼルスへ移籍した。
アメリカ野球愛好会副代表の鈴村裕輔氏がこう言った。
「プロ野球の年俸がその年の成績に対する報奨という意味合いが強いのに対し、メジャーのそれは来季以降の期待度を反映したもの。30本塁打しても、年齢やチーム事情などから年俸が下がるケースも中にはある。年俸や契約年数や起用法は、実力や選手としての格の重要な尺度となっているのです。なので選手は妥協しませんし、中途半端な契約で納得しようものなら、代理人がそんな安売りをするな、次から足元を見られるぞと選手の尻をたたく。球団も絶対に妥協しません。といって義理や人情がないわけではない。例えばフランチャイズを愛する選手と一日契約を結び、引退セレモニーをするケースはありますが、それと契約問題はまったく別の話なのです」