著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

シャルケ内田篤人「チームメートを理解するところから」

公開日: 更新日:

「リハビリ中は『ホントによく泣いたよ』って感じ」

 2018年ロシアW杯アジア最終予選B組は勝ち点10で首位のサウジアラビアと2位の日本代表、勝ち点9で3位のオーストラリアと4位のUAEによる4強バトルとなっている。3月23日のUAE戦(アルアイン)から始まる予選後半戦に10年南アW杯、14年ブラジルW杯メンバーに入った百戦錬磨のDF内田篤人が参戦できるのか? 日本代表の命運を大きく左右する重要テーマである。内田は「3月の代表復帰? 今はまだ……」と言葉を濁したが、常勝軍団・鹿島で勝者のメンタリティーを培ってきた男が、そう簡単に諦めるはずがない。「内田の日本代表復帰へのシナリオ」を探った。

「苦しかったのは、俺のひざのケガが普通じゃなかったこと。膝蓋靱帯といって、体内で一番強い靱帯が骨化した。めったにないケースだったので悩みに悩み、手術に踏み切る決断を下したけど、なかなか治らなかった。決断自体が間違ってたのでは――と迷った時期が最もきつかった。16年春に鹿島でリハビリする前くらいかな。もう『ホントによく泣いたよ』って感じ」と内田は苦笑いしながら打ち明けた。

 リスクを冒して手術に踏み切ったのも、万全の状態でロシアの舞台に立ちたいという思いが少なからずあったから。南アW杯は直前にDF駒野友一(福岡)にレギュラーを奪われ、ブラジルW杯ではケガを押して奮闘したが、1分け2敗と惨敗した。その後サッカー選手にとって円熟期といわれる26~28歳を治療とリハビリに費やした。

 その不完全燃焼感を内田は忘れてはいない。

 ロシアでリベンジを果たすには急ピッチでコンディションを上げ、ライバルを上回る存在感を示すしかないのである。

■「ムリしてでもガンガンいく」

「(シャルケの右サイドで定位置確保のDF)シェプフはインサイド(ハーフ)もできるから自分とはちょっと違う。ただ、誰がどうこうってことよりも、自分さえちゃんとプレーできれば、試合に出られると思っている。上(スタンド)から見ていても『俺ならもうちょっとできるな』って思うから。まだ(バインツィール)監督に認めてもらうには時間が必要だけど、だからといってケガを恐れてほそぼそとやっていくつもりはない。ここまで頑張ってきた意味がないからね。生き急ぐというか、ムリしてでもガンガンいくつもりだよ」と内田は悲壮な決意を打ち明ける。

 ブラジルW杯のザッケローニ監督時代、日本代表は自分たちのスタイル(ボールをつないで流れを引き込む)にこだわるべきか議論が起きた時に、内田は淡々と「勝つことが一番大事」と言い続けた。

 そういう冷静な目線と勝利への飽くなき執着心を持った右サイドバックが、ハリル日本代表の一員であれば、これほど心強いことはない。まずはシャルケの本拠フェルティンス・アレナの舞台に立つ日を待ちたい。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    三浦大知に続き「いきものがかり」もチケット売れないと"告白"…有名アーティストでも厳しい現状

  2. 2

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  3. 3

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  4. 4

    松嶋菜々子の“黒歴史”が石橋貴明セクハラ発覚で発掘される不憫…「完全にもらい事故」の二次被害

  5. 5

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  1. 6

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  2. 7

    下半身醜聞の川﨑春花に新展開! 突然の復帰発表に《メジャー予選会出場への打算》と痛烈パンチ

  3. 8

    モー娘。「裏アカ」内紛劇でアイドルビジネスの限界露呈か…デジタルネイティブ世代を管理する難しさ

  4. 9

    伸び悩む巨人若手の尻に火をつける“劇薬”の効能…秋広優人は「停滞」、浅野翔吾は「元気なし」

  5. 10

    小松菜奈&見上愛「区別がつかない説」についに終止符!2人の違いは鼻ピアスだった